あげはちょう

みかんの木に幼虫がいた。

幼虫の葉の付いた枝を花瓶に差し、テーブルに置いて成長を楽しむ。

毎日庭の枝も眺める。

丸く黄色い卵発見。

幼虫もまた発見。

その度に誰かにあげる。

お隣の坊やたちは常連。

勉強を見てあげている外国ルーツの子にも。

ストレッチを教えてくれている先生の子にも。

今年は近所の保育園でもらってくれた。

いくらでも喜んで取りに来る。

先生に付き添われた生徒4,5才児が眼を輝かしてもらっていく。

父母の間でも評判で、幼虫を飼い出した親もいるという。

園では、毛子が青虫になり、蛹になったのもあるという。

招待された園の夏祭りの頃までには10羽ほどのあげはがひらひら園内を舞い、園児たちは両手を上げて、蝶の後を追っていることだろう。

今年も六本木の街をあげはちょうが舞う夏を楽しみにしている。

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